博多のビル街にある住吉神社と楽水園
住吉神社は全国各地にありますが、三大住吉といえば大阪の住吉大社、山口県下関市の住吉神社、そして福岡市博多区にあるこの住吉神社です。
博多駅から徒歩15分程度。
駅前のバス停から「住吉」下車ですぐです。
住吉神社の祭神は住吉三神といわれる、底筒男神、中筒男神、表筒男神の三神と天照皇大神、神功皇后です。
住吉三神はイザナギノミコトが禊祓をされた時に生まれた神であり、すべての災いから身を護る神です。
そしてよく知られた航海、海上の守護神でもあります。
住吉神社には入り口が三カ所あり、博多駅の前から伸びる大通りに面しているのが南参道。この南門から入ると三日恵比寿神社が目の前です。
この灯籠、筥崎宮にある高灯籠にちょっと形が似ています。
高さは普通の灯籠なんですが、台石が四角錘に積まれていて安定感抜群です。
鳥居から社殿まで真っ直ぐに伸びる正式な参道は、大通りから少し入った西門になります。
もうひとつは東口で駐車場になっています。
さて、鳥居から神門、本殿が見えます。
左手には手水舎。
重厚感のある神門。
朱色が鮮やかな社殿。国の重要文化財です。
屋根の反り以外はほぼ直線で構成されているので余計なものがなく、端然として清々しい社殿です。
本殿手前に風鈴が設置してあり、よく鳴り響いていました。
社殿の向かって左手には、船玉神社、志賀神社、人丸神社、菅原神社がお祀りされています。
船玉神社の御祭神は交通安全、海上安全の猿田彦神。
志賀神社は海運、海上安全の綿津見三神。
人丸神社は和歌・芸能上達の柿本人麻呂。
菅原神社は学問成就の菅原道真公。
志賀神社にはお社の前に福分小判が奉納されています。
小判に触れて福を分けて頂けます。
また、本殿奥には稲荷神社。
が、社殿の老朽化による改修工事のため、御霊は稲荷神社手前の仮殿に遷御されていました。
稲荷神社のすぐ脇にむき出しの石窟のようなものがあり、ここにもお稲荷様が祀られていました。
太宰府の天開稲荷社も奥の院は石室のようでしたし、東京上野の花園稲荷神社の旧社殿跡のお稲荷様も穴のような場所にお祀りされています。
お稲荷様と岩穴にはなにか関係があるんでしょうか?
興味深いです。
社殿の向かって右手には大きな古代力士像があります。
全身から力が溢れるような像ですが、手のしわが「力」に見える右手に触れると、まさに力が貰えるそうです。
一度神門を出て左手に行くと能楽殿があり、そこを通り過ぎると三日恵比寿神社です。
功徳池に掛った橋を渡ると社殿があります。
住吉神社の社殿とは全く違う造りで、落ち着いた佇まいです。
そして社殿の左手には、よいお顔の恵比寿様がいらっしゃいます。
このご神像は触れる場所で御利益が違うそうで、まんべんなく撫でさせていただきました。
西門の参道から戻る途中にある、少彦名命を祀る少彦名神社。
スクナビコナと言うと、神話の中でガガイモの実の船に乗ってきたという神さま。
児童文学の名著、佐藤さとる氏の『だれも知らない小さな国』において、コロポックルと関係のあるのではないかと主人公に語らせているので、たぶん児童文学好きにも名前の知られた神さまです。
消えかかっていますが別名「神農さま、淡島さま」「薬種、醸造、婦人の病」と読めます。
少彦名命は医薬、まじない、酒造、穀物などの神。
神農さまは古代中国の三皇のひとり、炎帝。農業、医薬、音楽、まじないなどの神。
淡島さまは住吉神の女房神と言われ、婦人病に効験がある。
小さなお社ですが色々な御利益がありますね。
この西門の目の前に、道を挟んでイザナギノオオカミを祭神とする天津神社があります。この時にはお参りできなかったので、次の機会にはぜひ行きたいと思います。
さて、この住吉神社の近くに「楽水園」という庭園があります。
博多駅前四丁目の交差点から北の方に入っていくと、博多塀に囲まれた一画が見えてきます。
櫛田神社にも一部が移築保存されている博多塀ですが、ここではきちんと塀としての役目を果たしながら残っています。
博多塀は豊臣秀吉が太閤町割りを行った時に、戦火による焼け石、焼け瓦を塗りこめてつくったもので、この楽水園をはじめ寺社に何箇所か残っています。
楽水園は池を中心に配しその周囲を巡る、池泉回遊式庭園です。
広さはさほど広くなく、庭園を回るのに5分かかりません。
ただ、緑と自然石の滝口から流れ落ちる水音は、博多のビジネス街に居るとは思えない自然を感じさせてくれます。
仕事の合間に深呼吸できる場所です。
楽水園の入園料は100円です。
楽水園には茶室があり、茶会が開かれていない時は300円でお抹茶がいただけます。
一度は足を運んでのんびりとお抹茶を頂くのはいかがでしょうか。