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金印発見の地 志賀島の志賀海神社を参拝

志賀島は福岡市東区にある海の中道と呼ばれる砂州の先端と橋で繋がった島です。

博多湾の北に位置し玄界灘に面していて、歴史で習う「漢委奴国王」と刻まれた金印が発見されたのがこの志賀島です。

この金印、現在は福岡市博物館に常設展示されています。

 

金印で有名な志賀島ですが、ここに海神の総鎮守といわれる志賀海神社があります。

志賀海神社へは車の他にJR、バス、船で行くことができ、今回私は博多港ベイサイドプレイスから志賀島行きの市営渡船に乗りました。

乗船時間は30分で多分福岡市内からだと一番楽で早いです。


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船を下りたところから、懐かしい雰囲気の商店街を歩いて10分程で志賀海神社に着きます。


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まずは参道の入口にある御潮井(おしおい)で身を清めます。


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御潮井というのは、浜辺の砂で清めの塩のようなものです。

博多祇園山笠でも筥崎宮に参道先のお汐井浜まで「お汐井(おしおい)」を取りに行く神事があります。一般の人もお汐井をてぼと呼ばれる竹篭などに入れて持ち帰り、身に掛けたり撒いたりします。

 

その「御潮井」で身を清めてから階段を上ります。

階段の先にある鳥居は、天空への門のようです。


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参道の初めにある「印鑰社(いんやくしゃ)」。


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久那土神(くなどのかみ)は道の分かれるところ(辻)に立ち、災いを退けてくれる神さまで、ふなとの神、塞神(さえのかみ)とも呼ばれます。

天磐楠船神(あめのいわくすぶねのかみ)は鳥之石楠船神ともいい、鳥のように早い船の神さまで、海、空も含めた交通の神さまとして知られます。

迦具土神は火の神として有名です。

 

こちらは石造宝篋印塔。


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美しい空と海を見ながら進むと、狛犬に迎えられます。


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顔立ちがシーサーみたいで厳めしいのにどこか愛嬌がありました。


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さて、正面には志賀海神社の楼門が見えていますが、すぐ左手には山乃神(やまのかみ)社があります。


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海神の総鎮守の神社に山の神というのも不思議な気がしますが、この志賀島は実際来てみると、島全体がひとつの山だということに気付きます。

山の神が祀られるのも当たり前なのかもしれません。

ちょっと面白いお供えのことが説明板に書いてあります。


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おこぜやあらかぶ、空の財布?

説明板の後ろには古い財布が納められた箱もありました。

二本の木が絡み合うご神木もあります。


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楼門をくぐると、手水舎や鹿の角がおさめられた鹿角堂。のぞいてみると本当にものすごい数の鹿の角です。


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そして志賀海神社の社殿です。
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ここにも御潮井があり、身を清めてからお参りします。

これほどまでに穢れを嫌うご祭神は、

左殿 仲津綿津見神(相殿 神功皇后)

中殿 底津綿津見神(相殿 玉依姫命)

右殿 表津綿津見神(相殿 応神天皇)

の綿津見三神。

 

黄泉の国から戻った伊邪那岐命が、日向の橘の小門の阿波岐原で禊祓をした際に生まれたのが綿津見三神で、禊祓の神様です。

禊祓の神様であるために、身を清めてから参拝することが守り続けられています。

神社のホームページには、しきたりにより身内に不幸があった服喪期間中の方、生理中の方、生後100日以内のお子さん、妊娠中の方の参拝を、極力控えていただきたいとの記載もあります。

 

海には古来その地で守り続けられているしきたりや作法がいろいろとあります。

陸地から離れた海原で安全に航海し戻ってくるためには、「危険につながる」と言い伝えられたことは固く禁じて、今もそれを守り続けているのでしょう。


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志賀海神社の社殿は飾り気はありませんが、清く深く落ち着きのある建物です。

この海と森を領するこの地そのものが社殿と成ったような風景との一体感がありました。

社殿の前に立つと気持ちが落ち着きます。

 

社殿右手には遥拝所があります。

天気がよかったので空と海の色がとても美しく見えました。

市街地に住んでいると、空がこんなに奥行きがあることを忘れていました。

神功皇后ゆかりの亀石もあります。


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社殿裏手には末社が並んでいました。


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そのなかの一つ、磯崎社。


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御祭神のお名前は、先日博多区の住吉神社でも拝見しました。

 

今宮神社。


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綿津見三神を奉斎してきた「阿曇族」にゆかりの神社。

志賀島を拠点に大陸との交易を行い、広い経済文化圏を誇った阿曇族は海を通じて歴史に大きく関わってきました。その祖神をお祀りしてあります。

 

志賀海神社の境内は眺めがいいこともありますが、海風と緑陰も心地よくしばらくの間留まっていました。

 

この日、夏休み最後の日曜日だったせいか、子ども連れの家族や中学生くらいの男子生徒数人のグループなど、参拝客は途切れませんでした。

 

しばらくして、境内西側の舗装道路をどこにたどり着くのか歩いてみました。


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鬱蒼とした森の中、蝉の声と鳥の声、川の流れを聞きながらゆるやかな上り坂を行ってみましたが、途中で引き返しました。


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森の中は生い茂る木々の陰になり気温も少し低く気持ちよかったのですが、薄暗くて人ともあまり行き会わないため、ちょっと寂しくなりました。

それにこのまま上り続けると、志賀島の中央部である山の頂のほうへひたすら上ることがわかったので早々にリタイヤです。


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レンタルサイクルや車があれば、先に進んで楽しめるでしょう。

 

今回は志賀海神社参拝が目的でしたが、島内に点在する他の神社やその跡、金印公園などにも行ってみたくなりました。

 景色がいいのでドライブするだけでも楽しそうです。

 

ぜひ志賀島へ渡って、志賀海神社をお参りしてください。


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