言葉のカタチ

言葉にならないものをカタチにしよう

「トンコハウス展」と『ダム・キーパー』


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トンコハウスって知っていますか?

Twitterでよく見かける言葉だったのですが、それが何かわからないまま「トンコハウス展」に行ってきました。

 

トンコハウスとは、『トイ・ストーリー』などで有名なアメリカのアニメーションスタジオ、ピクサーに所属していた堤大介氏とロバート・コンドウ氏が立ち上げたアニメーションスタジオです。

 

もちろんそんなことは知らないまま、会場が福岡の繁華街天神にあり何かのついでに行きやすいこと、会期もあと数日で終わることから一昨日立ち寄りました。

 

トンコハウスの作品のスケッチやマケット(人形模型)や映像の展示会場は撮影も許可されていて、あちこちでシャッター音がしていました。

パネルになったデザインや設定を見ながら、私はどんな作品か知らないまま色と光の美しさに夢中で見入ってしまいました。

 

アニメーションで作られた光のはずなのに、現実の光と区別がつかないような色や輝きに魅了されました。

 

「何を作るか」よりも「なぜ作るか」にこだわりたい、というトンコハウスの原点にも心が動きました。

 

私はこどもの頃『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などのアニメを見て育ったので、アニメは今でも好きです。

なのでトンコハウスのこともとても気になりだし、帰りにレンタルショップで『ダム・キーパー』を借りて帰りました。

 

18分という短い作品ですが、短いナレーションのほかはセリフがなく絵だけでストーリーが紡がれていきます。

 

ダムに守られたパステルカラーの美しい街に住むブタくん。

彼は闇から街を守るダムキーパー。

美しい街はブタくんが定時に動かす、ダムの上の風車によって闇から守られています。

風車を動かすための作業によってか、闇によってかブタくんの体はいつも汚れています。

 

学校でも街でもからかわれたり嫌がらせをされるブタくん。

そんな日常を淡々とこなし、ダムキーパーとしての務めを果たすブタくん。

そこに転校生のキツネくんがやってきます。

明るくてクラスメイトともすぐに馴染むキツネくん。

キツネくんとの出会いでブタくんはこれまで知らなかった自分の心の奥と向かい合うことになります。

 

キツネくんと出会ってからのブタくんの心は、光で表わされています。

はじめ建物の外を美しく照らしていた光は、キツネくんと出会ってから窓の外から部屋の中へ差し入ってきて、ブタくんを照らします。

そして、キツネくんに裏切られたと思った時、周りの人々によって光が遮られブタくんは影の中。

さらにダムからは闇が溢れて・・・

 

セリフがない分、自分で考えながら見るアニメーションです。

ひとつひとつのシーンも表情も丁寧に描かれていて全体がとても美しいです。

絵は美しいけれど、表現しようとしていることはもっと意味が深いと思います。

 

ところで『ダム・キーパー』のメインキャラクターはブタくんとキツネくん。

日本語でブタはトン(豚)、キツネはコ(狐)。合わせてトンコ。

そこに様々なクリエイターが集まることを願ってつけた「ハウス」でトンコハウスなのだそうです!

 

美しい、かわいいだけではないアニメーションを作り出すトンコハウス。

『ダム・キーパー』を見た後、今日もういちどトンコハウス展に行ってきました。

アニメーションを見た後は、技術やメッセージなどに心ひかれながら展示を見ました。

今後も活動を追っていきたいトンコハウスに出会えてよかったです。